ナレーター「社畜一番くじラーの朝は早い」(一番くじ「遊☆戯☆王シリーズ vol.3~Wake Up Your Memories~」編)
都内某所。
閑静な住宅街の一画。
ここに一軒のアパートがある。
社畜一番くじラーのもっとんちゃんの自宅である。
探せばそれなりにいるであろう社畜一番くじラー。
だが、彼らの就業前の一番くじ探索は決して世間に知らされるものではない。
我々は、社畜一番くじラーの一日を追ったー
Q.朝、早いですね?
俺「ははは、願かけみたいなものですね。目当ての景品をゲットするためにも早起き。これが大切なんです」
日が登る前、人々が行動する前からもっとんちゃんは動き始める。
もっとんちゃん「俺なんかが社畜一番くじラーやれてるのはみんなの支えがあるからなんです。だから誰よりも早く動き始めないと」
そう語るもっとんちゃん目は何よりも真剣だ。
社畜一番くじラーに一切の妥協はない。
もっとんちゃん誇りはそこにあるという。
六時半
もっとんちゃんがテレビから離れ、台所に向かう。
取り出したのは手動のコーヒーミル。
手馴れた動きで豆の分量を図り挽き始める。
目線の先はテレビから離れない。
同時進行させることで、作業時間を減らす工夫だ。
湧いたお湯を片手にコーヒーを淹れながらセロリを焼く。
Q.何故、セロリを?
もっとんちゃん「セロリ美味いし」
就業開始までに引くには十時開始では遅刻確定。必然的に早朝から販売開始するコンビニを狙う必要があり、就業開始までに目当ての景品をゲットして出勤するという作戦だという。
Q.今回の狙いの一番くじは。
もっとんちゃん「今回狙うのは「一番くじ 遊☆戯☆王シリーズ vol.3~Wake Up Your Memories~」のB賞ですね。E・HERO フレイム・ウィングマンがまさかの立体化。これをゲットしない手はないです。A賞の十代も引ければ嬉しいですが高望みはしません」
七時
いつもであれば近所のコンビニが一番くじを販売開始する時間。
しかし、もっとんちゃんは動かない。
Q.なぜ出発しないんですか?
もっとんちゃん「今回の目当ての一番くじは近所での取り扱いがないんです。そうなれば出勤途中のコンビニに狙い行かないといけない。早く行きすぎると出勤時間まで暇になっちゃいますから。今回の一番くじは開店すぐになくなりそうにないと判断し、ギリギリ間に合う時間に出勤できるように調整しているんですよ」
一番くじのラインナップを見て瞬時に逆算し出発時間を設定する。
プロならではの、技である。
八時
余裕を持って職場最寄りの駅のコンビニに到着。
確実に一番くじを仕入れるコンビニとして事前にリサーチ済みなのでこれくらいの時間であれば適度に下位賞が減ったところで上位賞を狙うことができるという寸法だ。
しかし、ここで事件が発生した。
コンビニの隅々まで探したものの、どこにも目当ての一番くじが置いてないのだ。
Q.一番くじ、ありませんね?
もっとんちゃん「慌てないで。この店でこの時間に店頭に並んでいないのはめずらしいですが、朝の忙しい時間帯に店員さんに尋ねるのは迷惑です。ここは大人しく"待ち"です」
社畜一番くじラーは動じない。
コンビニ近くの常連のカフェに移動し、モーニングを頼んで仕事を始める。
Q.朝食を食べたのにまたモーニングなんですか。
もっとんちゃん「常連のカフェなのでやはりコーヒーだけというのは気が引けますよね。さすがに今日の朝は食べ過ぎなので午前中は眠っちゃわないようにしなきゃですね」
九時。
カフェを後にし再びコンビニへ。
どうやらまだ一番くじは店頭にならんでないようだ。
Q.そろそろ仕事の時間ですね。
もっとんちゃん「さすがに遅刻するわけにはいかないので今朝は撤退ですね。退勤後にでも探索を再開します。」
そう言い残し社屋の中に消えていく。その背中はどこか悲しげだった。
社畜一番くじラー・もっとんちゃん。
彼は来週土曜日の朝もまた、六時には起きるという。
end