#02:【僕のヒーローアカデミア】オールマイトに憧れている2人をどうフィギュアで表現するのか?
【僕のヒーローアカデミア】オールマイトに憧れている2人をどうフィギュアで表現するのか?
堀越耕平先生の漫画作品として始まり、2016年からアニメが始まり、2024年5月には第7期が放送される人気作品TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)。8月には劇場版第4弾も控えている本作の新たな一番くじ「僕のヒーローアカデミア -二人のあこがれ-」が、3月23日より発売となります。今回はTVアニメ『ヒロアカ』の一番くじで企画を担当するペンギンさんにインタビューを行い、各賞に込めたこだわりを伺いました。
プロフィール
アパレル関係の会社で勤務後、バンダイに入社。 パジャマやインナー、キャラクターアパレル類を扱うファッションブランド事業部、ガシャポンを扱うベンダー事業部を経験後、BANDAI SPIRITS ロト・イノベーション事業部に。現在はTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』の一番くじ企画を担当している。 |
デクのブーツの「傷」にまでこだわるTVアニメ『ヒロアカ』一番くじ
――『ヒロアカ』の世界観を、一番くじで再現するうえで意識しているのはどのような部分でしょうか。
ペンギン:フィギュアなどの立体物の場合、ヒーローコスチュームはディティールにまでこだわっていて、たとえばデクのブーツひとつとっても、綺麗な状態ではなく擦れた跡を付けているんです。爆豪の服にも傷が入っていたりして、そういった部分は一番くじならではのこだわりとして表現できるように考えています。
たとえば、他作品で描かれる傷と『ヒロアカ』で描かれる傷はまた違うものじゃないですか。そういった作品の特徴を表現できるように、制作会社や原型師の方のお力で形にしていく、という感じですね。
――作内の傷の表現まで意識しているんですね。これまで担当されたTVアニメ『ヒロアカ』の一番くじのなかでとくに印象的だったものを選ぶとしたら何でしょうか?
ペンギン:印象的だったのは『僕のヴィランアカデミア』ですね。それまでは基本的に主人公のデクが入っていないくじは出ていなかったんですけど、そこで初めて敵<ヴィラン>だけの構成というものにチャレンジしたんです。
――番くじ倶楽部内のページを見ると、ロゴも『僕のヒーローアカデミア』ではなくて『僕のヴィランアカデミア』になっていますね。
ペンギン:そうなんです。当時、『僕のヴィランアカデミア』のタイトルでアニメを放映していたので、あわせて展開しました。主人公たちだけでなく敵側のキャラクターも魅力的で人気があるので、発売してすぐに完売して、再販売もさせて頂きました。そういった意味でも非常に印象に残っています。
一番くじで初登場となる、デクと爆豪の「幼少期」アイテムを構成全体で魅せる
――3月に発売される「二人のあこがれ」ではデクと爆豪の幼少期のアイテムが登場していますが、今回はどういった流れでテーマが決まっていったのですか?
ペンギン:最初のきっかけになったのは、アンケート回答にもあった「幼少期のアイテムを出してほしい」という声ですね。そもそも、TVアニメ『ヒロアカ』の一番くじはアニメを追いかけるかたちでキャラクターを選定することが多いのですが、今回はアニメ放送がないタイミングでの発売だったんです。そういった背景もあり、このタイミングでやってみよう、と決まっていきました。
――一番くじに限らず、2人の幼少期のアイテムそのものがなかなかないですよね。
ペンギン:そうですね。基本的に幼少期のアイテムって、版権元様も大切にされていて、あまり商品自体出ていないんです。版権元様には「このテーマでやりたいんだ」という熱量を伝えることはもちろん、大切なIPをどういう構成であれば違和感なくお届けできるか、という内容を協議しました。今回はデクと爆豪だけにスポットを当てるのではなく、2人が子どものころに憧れの存在として見ていたころのオールマイトを入れることで、テーマとしての統一感を出しています。
ペリペリ団の皆さまからの質問にもお答え!①
Q:幼少期のフィギュアはこれまでの『ヒロアカ』にはエモいシリーズですが、今後もこのような切り口でくじを展開する予定はありますか? |
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A:実現するかどうかは断言できませんが、もちろん考えてはいます。『ヒロアカ』にはエモいシーンがたくさんあるので、そういったものもタイミングを見てやってみたいとは思っています。ヒーローコスチュームではないアイテムも考えているので、今後のシリーズにご期待ください。 |
初のシルバーエイジ立体化、デクと爆豪は過去作との差別化がポイント
――ここからは「僕のヒーローアカデミア -二人のあこがれ-」の各賞について伺っていきたいと思います。まずA賞の『オールマイト フィギュア』ですが、こちらについてこだわったポイントなどを教えてください。
ペンギン:まずは、このポーズですね。オールマイトらしさを表現できるように、このポージングにしています。今回のオールマイトはデクと爆豪が子どものころに見ていた、シルバーエイジというときの衣装なんですが、一番くじでは初めての立体化になるんですよ。
――シルバーエイジということで、マントを羽織った姿も印象的ですね。マントや筋肉の立体感など、こちらもディティールのこだわりが感じられます。
ペンギン:マントは、ベタっとしているとかっこよくないので、程よいヒラヒラ感のバランスを探すのがひとつ難しいポイントでしたね。
また、筋肉の立体感を表現するために、影を表現するブラシの入れ方をより筋肉が立体的に見えるように調整して、全体として違和感のないように仕上げました。
――B賞の『緑谷出久 フィギュア』についてはいかがでしょうか。
ペンギン:これはD賞の『爆豪勝己 フィギュア』もそうなんですけど、デクと爆豪のフィギュアは、これまでもかなりの数を出してきているんです。過去のフィギュアと被らずに、かつデクっぽさ、爆豪らしさを出すことは毎回意識していますね。
――今回のデクと爆豪のフィギュアでとくに注目してほしいのはどんなところですか?
ペンギン:爆豪については、ヒーローコスチューム姿でもマスクをしているかどうか、手榴弾をモチーフにした腕の装備を着けているかどうか、といった細かな違いを喜んでくださるユーザーの方が多いんですよ。今回はマスクも腕の装備も着けていない状態で、このパターンはあまり出ていなかったかなと思います。
デクに関して言えば、注目してほしいのは表情ですね。直近では力の入った、けわしい表情が多かったんですけど、今回はテーマが「二人のあこがれ」ということもあり、戦闘シーンとは差別化した表情になっています。
ペリペリ団の皆さまからの質問にもお答え!②
Q:『ヒロアカ』にはたくさんのキャラクターがいるなかで、デクや爆豪がたくさん登場しているのはなぜですか? |
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A:商品構成を考える中で、色々なキャラクターをラインナップしたいと考えるのですが、作品に登場する頻度が高いデクや爆豪を入れることでその商品のテーマがより明確になったり、あとは単純にユーザーに愛されているキャラクターなので入れたいと思っています。登場回数が多くなるぶん、ポーズや表情などを変えて違いを出すことは意識しています。 |
2人のオールマイトへの憧れを描いた幼少期のフィギュア
――C賞の『緑谷出久(幼少期)フィギュア』とE賞『爆豪勝己(幼少期)フィギュア』もセットで語っていただくのがよいかと思いますが、こちらはどういった点にこだわっていますか?
ペンギン:2人ともまっすぐ前を見ている、というのを意識しました。目の前にいるか、あるいはブラウン管に映っているか、何かしらのかたちでオールマイトに憧れの目を向けているというイメージで制作しています。
――2人とも目がキラキラしていて素敵ですね。幼少期の姿はデフォルメが効いていることもあり造形自体はシンプルですが、シンプルだからこそ難しいところもあるのでしょうか。
ペンギン:シンプルな造形のほうが、顔のパーツがちょっとズレただけでも、違和感が目立ってしまうんです。より作品を忠実に再現する正確性が求められるので、難しいかもしれませんね。
ペリペリ団の皆さまからの質問にもお答え!③
Q:幼少期のフィギュアで2人が着ているTシャツは、どのようにチョイスされたのでしょうか? 2人とも別々の場面で着ていた服だったので気になりました。 |
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A:ファンのみなさんにより馴染みがあるデザインにしようと思い、この衣装をチョイスしました。実は以前、デクや爆豪、お茶子たちのヒーローコスチューム姿と幼少期の姿をセットにしたビジュアルが公開されたのですが、そのときの格好に合わせています。 |
――F賞の『フラップマグ』はTVアニメ『ヒロアカ』のくじには初登場とのことですが、こちらでこだわっているのはどんなところでしょうか。
ペンギン:これまでの雑貨は「緑谷出久」「爆豪勝己」などキャラクターの本名を使っていたのですが、今回に関してはヒーロー名をあしらったところですね。これはH賞の『ジャガードタオル』も同様です。今回はオールマイトという「ヒーロー」に憧れている2人、というのがくじのテーマになっているので、そこに合わせて雑貨もヒーロー名で構成しています。
――G賞の『クリアファイルセット』は紙を入れるとデザインが変化する、という仕組みがユニークですね。
ペンギン:これまで雑貨系のアイテムではたくさんのキャラクターを入れるのが定番だったのですが、今回はくじのテーマに沿って、デクと爆豪、そしてオールマイトの3人を中心にデザインにしています。幼少期のデクと爆豪のいろいろな表情を入れた柄を用意する、というのもこだわった部分ですね。
――H賞の『ジャガードタオル(※)』についても、こだわりポイントを聞かせてください。
※ジャガードタオル:染色済みの糸を使い、織りかたでデザインを表現したタオル。
ペンギン:オールマイトを3種類用意しているところですね。ゴールデンエイジ、シルバーエイジのコスチュームイメージの柄、そしてコミックスやアニメでも表現されている“画風が違う”感じをイメージした横顔の柄、この3つを用意したのが今回のポイントです。
――一般的なタオルではなく、ジャガードタオルにした理由などあるのでしょうか。
ペンギン:以前、お客様から「タオルの吸水性を上げてほしい」という要望をいただいたことがあったのと、自分自身が元々アパレルの業界にいたこともあり、少しこだわらせていただきました。ジャガードタオルは吸水性も高いですし、サイズ的にも小ぶりなものにしてあるので、普段使いしやすいと思います。
ペリペリ団の皆さまからの質問にもお答え!④
Q:商品開発の流れを聞いてみたいです。商品の発売日や造形依頼、テーマ、各賞のラインナップなどはどういった順番で進んでいくのでしょうか? |
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A:発売月が1年以上前から決まっていて、そこに対してどんなコンセプトにしようか、と考えるところから始まります。テーマが決まってから各種ラインナップを決めていき、進行OKのジャッジが固まったらそれぞれの細かいデザインを進めていきます。 |
最後まで楽しんでもらうのがラストワン賞の意味
――最後にラストワン賞『オールマイト フィギュア ラストワンver.』ですが、こちらはコスチューム部分がメタリックになっていますね。
ペンギン:A賞との差別化を図るという意味で、派手さを出すことは意識して、メタリック感を全面に出しています。肌と髪以外の部分は全てメタリックにしているので、その輝きに注目してもらえればと思います。
ペリペリ団の皆さまからの質問にもお答え!⑤
Q:オールマイトって大きくて迫力があるじゃないですか。デクやかっちゃんと並べたときのバランスも考慮して造形しているんですか? |
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A:今回はスケールフィギュアではないので完全一致ではないのですが、キャラクター同士のサイズ感の違いは意識しています。制作する際はキャラクターの身長を調べて、このキャラがフィギュアで何センチになるなら、こっちのキャラは身長がそれより20センチ低いから、フィギュアにするとこれくらいの差があるな、みたいなことは考えています。今回のもので言うと、幼少期のフィギュアとオールマイトを並べたらいい感じのサイズ感になりますので、是非一緒に飾って楽しんでください! |
――最後に、このインタビューを読まれているペリペリ団の皆さんへメッセージをお願いします!
ペンギン:2024年はアニメの7期の放送や、劇場版の公開が控えています。一番くじも一緒に作品を盛り上げていきたいと思っているので、「二人のあこがれ」弾はもちろん、今後の商品展開も楽しみにしていてください!