原作の熱狂的なファンであり且つ岩倉氏による神がかった造形で作り込まれたフィギュアの存在感。

果たして今回の一番くじをペリペリしない理由など存在し得るのだろうか？

 

一方でその話題性などから転売ヤーの餌食となる危険性をはらみつつ、取扱い店舗の少なさも相まってラストワンゲットのための困難な道のりがある意味、゛逃れられない運命゛として定められていると言っても過言ではない。

 

それが今回の一番くじ「ベルセルク 運命に抗う、黒い剣士」である。

 

以下に記すのはその運命に抗ったアラフィフおっさんとその家族4人による戦いの軌跡である。

9月14日午前7時前、コンビニ巡りを開始

 

1店舗目は午前0時開始かロット買いかは不明であるが、既に完売。

 

2店舗目はフルロット状態で且つラストまで残り20となった時点で1人10回の購入制限という独自ルールのために暫く様子を見ることに。

 

その後、別の用事を済ませ再びコンビニ巡りを再開するも
3店舗目、既に完売
4店舗目、既に完売
5店舗目、既に完売
…

この時点でコンビニ巡りを諦め、照準を公式ショップが入る商業施設に移すことにする。

 

午前10時過ぎ、公式ショップのレジ前では様々な思惑をはらんだ猛者達（単なる客）による熱い戦いが既に始まっていた。

 

なお、ライバルの概要は以下のとおりであり、当該ショップでは1人10回の購入制限となっていた。

 

A：母娘と思われる親子2人組
B：ラストワン狙いと思われる親子3人組
C：友人同士と思われる男女3人組
D：カップルと思われる男女2人組
E：ラストワン狙いと思われる青年1人
F：Eと同様の中年男性1人

 

ショップに現着した時点で残り60枚と程よい状態で、その後並んでいたAが20枚でガッツを引き当てたほか、CとDが数枚引く中において、ラストワン狙いと思われるEとFは購入制限の縛りから、中々行動に移せない状況となっていた。

 

残り枚数が40枚程度となったところで事態が突然動き出す。
先程ガッツを引き当てたAが直ぐに並び直したのである。

 

昨今の物価高騰の煽りで一番くじの値段も上昇傾向にある中、今回は850円という強気の値段設定にも関わらず、推しのためには出し惜しみしないその姿に対し、ライバルであるにも関わらず思わず敬意を表してしまった。

 

それはさておき、Aの購入数如何によってはラストワンが狙えるため、直後に並んだBに続いてAの同行を注視していると狙いは「ドラゴンころし」らしく何と20枚も購入。

 

無事に「ドラゴンころし」を引き当てたAを祝福しつつ、この時点で残りが20枚以下となったことでBのラストワンが確定。

 

敢えなく目の前で今回のラストワン狙いが終了してしまい、絶望の余り目の前が白くなっていくことを実感することに。

 

 

 

 

しかしながらここで店員からの思わぬ一言。

「次のロットを準備しますので、少々お待ちくださ～い。」

そう、公式であるが故に５ロット程が当該店舗に入荷されていたのである。

 

「我々はまだ戦えるのだ…」
希望が繋がった喜びを噛み締めつつも、流石にフルロット状態でラストワンを狙うことは家計的に厳しいため、暫くは商業施設内を散策して様子を見ることに。

 

約30分後、戦いの場である公式ショップに戻ると、以下のライバル達が待ち構えていた。

 

C：友人同士と思われる男女3人組
D：カップルと思われる男女2人組
E：ラストワン狙いと思われる青年1人
F：Eと同様の中年男性1人
G：ガッツ狙いと思われる長身の青年男子２人組（New）

 

くじの残りは60枚程度で1ロット目とさほど変わらないものの、上位賞が無傷な状況において、売り場の異様な雰囲気やラストワンの馬鹿デカい箱の大きさでテンションが上がってしまった嫁からまさかの一言。

 

「40枚以下になったら、もう面倒くさいから全部買ってもいいよ～」

所謂「数の暴力」の発動を承認したのである。

 

人気作品の一番くじは公平を期すために往々にして購入制限を掛けられるのだが、それに対抗する手段として発動されるのが家族や知人等の複数人グループによるまとめ買い＝所謂「数の暴力」である。

 

しかしながらその力は強大過ぎるため、くじの本質を踏まえるならばその発動は厳に慎むべきであるのだが、今回の狙いはラストワン一択。

発動することは致し方ない、寧ろ必須と言える手段なのである。

 

Eさん、Fさんには大変申し訳ないのだが、レジのやり取りを注視しつつ、禁じ手発動のタイミングを覗うことに。

 

おそらくガッツ狙いと思われるC及びDが散発的に引く中、新参者であるGの登場で膠着した状態が再び動き出すこととなる。

 

Gは10枚購入したものの下位賞に甘んじた様で直ぐさま並び直したことから、ガッツ狙いのガチ勢と推測し「数の暴力」発動準備のためにG直ぐ後ろに並びつつその様子を覗うことに。

 

当方の思惑どおりGは再び10枚購入、更にガッツとドラゴンころしをセットで引き当てたことを確認したうえで満を持して「数の暴力」を発動。

 

当方「ベルセルクの一番くじ、全部ください（バルス!!）」
店員「残り34枚のご購入、ありがとうございま～す!!」

 

長かったラストワンを巡る僅か数時間の戦いが、今終わりを告げた瞬間であった。

無事にラストワンを獲得できたのだが、図らずもガッツとドラゴンころしを同時に獲得できたことからその喜びは尚更ひとしおであった。

 

以上が、運命に抗ったアラフィフおっさんとその家族4人の熱い戦いの軌跡である。

 

なお、充実感に溢れながら帰路に着くなか、発せられた嫁の一言が今回の一番くじの全てを物語っていた。

 

「これってくじ引きじゃなくて、単なる高額フィギュアの購入だよね」

 

当然であるが、私は何も言い返せなかった…。